井上千鶴のことば

又、又、大地震。

 

今回は、14日と16日、2回に渡って震度7以上という

大変な災害になりました。

熊本、大分の方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

阪神淡路大震災、新潟の地震、そして東日本大震災と

近年、余りにも大規模な地震、災害が続いています。

その度に多くの人々が悲嘆にくれ、その人々を支える

為に、何と多くの人々が必死の働きをされている事

でしょう。テレビ、新聞の報道が間断たなくされる中、

自身で何も出来ない歯がゆさと共に、東南海の地震が

近い事を考えると大自然ににどれだけ立ち向かえるのか

疑問は残っても、今すぐ個人も、自治体も、政府も対策を

とるべきではないでしょうか。

私自身、今迄は、ほとんど人ごとのようにしか思わなかった

地震ですが、今回は本当に手近かな所から出来るだけ

手を打っていこうと思いました。

フィルム室や作品の倉庫、そして、道具類の倉庫の棚の

固定化を始めました。

個人で出来る事は、この位ですが、一番気になる所は、

先ず、原子力の発電所や石油タンク、薬品を扱う工場等が

地震や津波に対してどれだけ安全措置がされてるのかです。

こんなに災害の多い土地であれば、世界規準の安全性が

整ったから原子力発電を始めても良いと言う事は決して

言えないのではないでしょうか。

何時、何処で発災するか分からない災害を抱かえる日本は、

同時に自然の恵みも、世界中で類を見ない程の大きな場所

です。その良いところを生かし、自然と共に生きるこの方法を

現代の叡智を集めて実行するべき時だと思います。

20年程の間にこんなに多くの人々が受けた苦痛を又、

繰り返さない為に、政府も民間も個人も一つになって、

災害に対応した社会作りを目指すべきだとつくづく思い

ました。都市の一局集中にならない方策から始める

べきかもしれません。根本的な所から見直す必要が

有るでしょう。一朝一夕にも出来ない事だとも思いますが、

100年かけても、そういう事は、未来の子供達の為に

実行すべき責任を感じます。

 

 

 

井上千鶴のことば

 

富岡鉄斎展

 

桜前線も北上し、我家の小さな庭では、

山吹の黄花と白花が今を盛りと咲き競って

います。この後は満天星つつじに海老根蘭、

そして、うつぎに紫蘭と春の花が次々と出番を

待っています。今週も晴れの週末で、人出の

多い事ですが、鉄斎展が催されていると聞き

兵庫県立美術館へ行ってきました。

とても良い展観で、鉄斎の人となりと

その才能の大きさに圧倒されました。

もちろん、私のような者でも若い頃から聞き

馴れた名声でしたが、思っていた以上に

大変な学者であり、天才的な画業を残された

方だと理解出来る展覧会でした。

中でも、大作で代表作の富士山の屏風は多くの

画人が特に日本画の世界では昔から描き尽くされた

題材ですが、これ程、印象的で圧倒的な

存在感を思わせる冨士を私は見た事がありません。

本当に素晴らしいものでした。

時代を越えた美の世界が水墨画にもあるのだと

感じます。

是非、多くの方々、特に若い人達には見に行って

もらいたいものだと思いました。

お花見や自然の中でのウォーキングは、

気持ちの良いものですが、人の描いた絵画や

写真、アートの世界は、作者の目、手、感性を

通して何を表現しようとするのか、その意図を

見る楽しみは格別のものがあります。

楽しい一日でした。

 

 

 

井上千鶴のことば

 

 

新しい年度の始まりです

 

今年も幡では新入社員2名が加わりました。

又、私事ですが孫も新中学生へと進級します。

新しい所に進む事は何時の時代も期待と不安とが

入り混じり精神的に落ち着かないものです。

それと共に、未知なる世界に飛び込む挑戦的な

気持ちが平常心とは異なる高揚する心に

驚いたりもします。

私は幼い頃から一貫教育の学校に居た事もあり

又、女性はお嫁さんになる事が一番という時代

でもあったので、社会人になればという思いを

実際、感じた事はほとんどありませんでした。

しかしながら、結婚をし、子供にも恵まれ

ようやく自分のあるべき形とはと考えるように

なったのは、30歳近くになってからの事でした。

それから10年間、主人の写真の助手や、子育てを

しながら試行錯誤の日々を送りました。

そして、ようやく40歳にもなろうとする頃、

井上企画・幡を作り、今まで思いを積のらせた事を

形にする「会社」というものをスタートさせました。

今から思えば、その時の思いは稚拙なものでしたが、

基本のところは今も変わらず醸成し会社のコンセプト

として整備され噛み砕き、若い人々に受け継がれる

形になってきました。

新入社員の人を前に30年前の事を思い私自身

新たな気持ちで、もう少しの間、若い人々と共に、

井上企画・幡を育てて行きたいと考えました。

 

 

 

 

井上千鶴のことば

 

 

 

 

花冷え

 

五月の陽気が、お彼岸の中日頃には感じられたのも束の間、

今日の寒さは冬に逆戻りです。

毎年の事ながら、桜の開花便りには必ず、

花冷えの日があって、ようやく本格的な春、爛漫となります。

そんな中、休日を見計らいながら道具や食器の

整理をしています。

結婚する以前から好きな骨董品、特に食器やお茶碗に

使える物を求めてきたのが、この年になって、かなりの

量になっています。

日常的に使い易い品、料理や季節によって

使い分ける食器は、大皿、小皿、銘々皿、小鉢、椀、

飯茶碗、汲み出し茶碗、茶托、菓子器、抹茶椀 等々

書き出したら切りがない程です。

考えてみれば、この様な器類の中でも、お客様用等は

今まで何度使った事かと思うと自分の代だけでなく、

娘や孫が使わないと本当に勿体ない事になって

しまいます。

昔の家族のあり方は大家族で、一年中、各々の

家の行事に沿って会食があり、お客様のもてなしの

折りには、季節を感じる食器やしつらえを楽しみます。

そんな時、親が何を、どの様に使い盛り付けるのかを

見聞きし、体験する事が、その家の伝統として

受け継がれていったものです。

私は、母のしている事を今も思い出す事があります。

しかしながら、最近では家へお客様を呼ぶ事も

少なくなり、又、娘や孫と一緒に住んでいる方も

珍しくなっています。

家の伝統(大層ですが)や、大切な各々の道具は

今後どのように継がってゆくのでしょうか。

私自身も道具の整理をする度にそんな事を思い

ますが、今一時、残された時間を大切に、好きな

道具や器を慈しんで使いたいと願っています。

その前に整理整頓が待っています。

桜を愛でながら、楽しんでしたいと思っています。

 

 

 

 

井上千鶴のことば

3月11日に思う

 

二月堂の修二会も今日で満行、奈良にも

本格的な春の到来です。

日は一日と暖かくなる喜びの時ですが

3月11日は、日本人にとっては忘れられない、

忘れてはならない苦しい痛ましい記憶です。

毎年この日の前からキャンペーンで各報道機関が

いろいろな形で取り上げます。

特に今回は、5年が過ぎたという事もあり

毎日のように私達が知らなかった事や

5年の歳月を経ても尚、立ち上れない人々の

心の傷の深さ等と共に、年令の高い人達にとっては、

生活とコミュニティーの問題等、複雑に絡み合って、

悲しみだけではない悩ましい状態が続いている

有様を見せつけられます。

地震だけでも大変な事なのに、その上、大津波に

原子力の問題と今後何十年も、その負の遺産を

背負って生活しなければならない人々の事を

思う時、人間として、この先、文明の力をどこ迄

頼りにして生きてゆく事が良いのか本当に深く

深く、考えなければと思うばかりです。

だからと言って明治や江戸の昔の生活に戻る事も

できませんが、しかし、どこ迄もどこ迄も、便利快適を

追求する事が良いとも思えません。

限度、足るを知るという事を今こそ考えるべき時が

来ているように思えてなりません。

どこ迄も何事も発展し続ける事が本当の

幸せなのでしょうか。

つくづく考えるこの2週間でした。

 

花粉症にもどきどきしながら、何とか低空飛行を

続けてそれなりに元気で桜が待ち遠しいこの頃です。

 

 

 

 

井上千鶴のことば

この所の暖かさは、啓蟄を実感させる程ですが、

突然  目の前に見なれない虫が現れると

異常気象を思わせますが、植物は と見ていますと、

いつもならば、お水取りが終わる頃ようやく

花を付ける土佐水木が早々と2、3日前から

顔を出しています。

やはり、これも暖かさ由の事なのでしょう。

 

春になれば、花粉症の為か精神的にも、

うっとうしい日が続きます。そんな中、庭掃除や

道具の片付けを終えた後、1年程前から

気になっていたパン屋さんへ一度行ってみようと

車で出かけました。時々行くスーパーの道に

ほど近い住宅地の中にある小さなパン屋さんです。

3人もお客が入ると身動きがとれない様な

お店ですが、並んでいるパンは、とても美味しそうで

お友達二人がパンを作り、そして販売している

手作りのパン屋さんです。

価格は少し高めですが、少量、多品種、

いろんな工夫を凝らしたのが感じられる品が

並んでいます。

商品も良いのですが、接客の感じ良さが、

リピーターを作っていると思われる、素敵な

女性二人です。

早速持ち帰って、食べてみましたが、

予想通り美味しいパンでした。

うっとうしい気分も美味しい物で一段落。

 

もう少し花粉症が治まるまで、我慢が続きそうです。

 

 

 

井上千鶴のことば

 

ギャラリー瑲  春来る

 

長い冬休み(12月初~2月迄 3ヶ月間)が終わり、

ようやく春めいて来た3月2日より、ギャラリー瑲 が開きます。

今回は、モノクロームばかりで、博道が産経新聞社時代に

司馬遼太郎さんからの声かけで、写真企画「美の脇役」を

三年間連載し、その後、京都の淡交新社より

初めて出版した思い出の写真で、構成しました。

長らく絶版だった本も平成17年 光文社 知恵の森文庫

より再び出していただきました。

司馬さんも、博道も多くの筆者の方々は刊行以来

半世紀を過ぎた今、故人となられています。

写真に付けられた文章のすばらしさは、美を何に、

どのような時に、どのように感じるかを教えられます。

まだまだ寒さの残る早春ですが、

水・木・金曜日  午前11:00 ~ 午後16:30

是非お立ち寄りください。

 

井上千鶴のことば

 

 

なつかしい場所

 

今日も相変わらずフィルムを見ています。

この所は、35m/mばかりなので、ついつい

前かがみになり、ビュアーに寄りかかる姿勢で

何時間もいるので、胃を圧迫し肩も凝るという

不健康な体勢です。

しかし、そんな中でも美しい影像を見ると

見入ったり楽しい気分になったりと、

それはそれで良いものです。

昨日も、山の辺の所を整理していますと、天理の

柳本町周辺が出てきました。学生時代、仲良かった

友人の実家の場所です。何度か遊びに伺った事の

ある所です。

自然と畑が目の前に広がり、その周辺を味のある

石垣が積まれているのです。畑には新緑の柿の木や、

紫色の大根の花が咲き、石垣の石の間には、白い

マーガレットのような白い小花が、そこ、ここに

咲いています。何とも懐かしい、安らかな雰囲気の

写真です。昔の友人宅とはちょっと異なるのですが、

そこに漂う空気感は同一のノスタルジックな夢の中の

やさしいものです。

そんな事を思いながら、久し振りに、その友人に

手紙を書きました。

50年もの間、続いた友情を、この先いつまで

生きるかは思いも及ばないですが大切にしつつ

お互い精一杯、生きましょう と書きました。

 

一度、春になれば、昔を思いながら山の辺を歩いて

見たいと思いました。

 

 

 

 

 

井上千鶴のことば

立春

 

春のギフトショーも無事終わり、帰宅すると

苔の柔らかな部分を例年のように虫を探して

鳥が撒き散らし、そこらじゅうが堀り返されています。

いよいよ春到来なのでしょうか。

啓蟄(けいちつ)にはまだ間があるのにと

思いながら、ひっくり返された苔を元通りに

戻して回ります。

それにしても今年のギフトショーは、久しぶりの

人の入りで、5名のスタッフも大忙しだったとか。

私も半日しか居なかったのですが、初めて会う人も

多く少しの緊張感が楽しい一時でした。

若いスタッフの一生懸命の対応が又ほほえましくも

思えました。以前より台湾や中国の人達が

ギフトショーの中でも多くなったように思えるのと

同時にせめて英語が話せるようにならないと中々

世界いえ、アジアですら商いは出来ないなと

実感しました。

 

5日の朝日新聞の社説のぺ-ジの中で、

拡散するナショナリズムについて佐伯啓思氏が

述べられている文章がとても気になる一文でした。

私達日本人のナショナリズムは一体どういう事

なのでしょうか。戦後世代の私は戦前の父母とは

異なった民主主義の教育を受け、経済優先、

自由と責任を何となく教えられ宗教については

ほとんど考えず、古い奈良、京都で育ったが故、

日本の伝統、美意識だけは身につける事が

出来ましたが、本当の意味でのナショナリズムを

考え他と比べ確たる信念を持てたのか考えるばかりです。

これだけ世界中が近い存在になっている今、もっともっと

それらの事を考え行動しなければならないのでしょう。

今日も北朝鮮がミサイルを発射しました。

日々世界で起きている事が身近に迫っています。

どう考え、行動をすれば良いのでしょうか。

いろいろな事を考える一週間でした。

春よ来い。

 

 

 

井上千鶴のことば

水仙

 

お正月から咲き出した庭の水仙がよく咲いているな と

近くを通る度に見ています。

ところが、三日前よりの寒波で、さすがの水仙も

満開の花が根元に近い所から折れて下を向いています。

しかし、何となく香りだけは漂っています。

思い切って折れた所から株で切りました。

一束程の水仙を花器に入れしっかり水を上げると

今日で三日、香り高く部屋中を楽しませてくれます。

生き返ったのでしょうか、一生懸命咲いているように

思えます。

この所の寒さで椿も咲き出した所が、霜焼け

したように茶色くなったり、蕾のままで花が

咲きそうになかったりと、寂しい部屋に、水仙の

あまい香りがいっぱいです。

時々するいつもの散歩コースの途中の土手に

一面、水仙が咲く所があります。

今朝も気になってそっとのぞいて見ると

陽の当る所に、ちらほら、咲いているのが見えます。

寒い中でも、陽を感じ健気にも咲く姿に

元気付けられて足早にコースを巡りました。

寒さが心地よい散歩になりました。

 

来週はギフトショーが始まります。

私も中日に行こうと思っています。

若い人達の頑張りを見るのが楽しみです。